業務システムを新しくするとき、必ず一度は立ち止まる分かれ道があります。既製のパッケージを買うか、自社の仕事に合わせて作るか。この選択です。
価格や納期を並べて比べたくなる場面ですが、私たちはもう少し手前に、見ておきたいことがあると考えています。
「合わない部分」を、最後に誰が引き受けるのか
どんなに評判のよいパッケージでも、自社の仕事と百パーセント重なることはまずありません。必ずどこかに、合わない部分が残ります。
問題は、その合わない部分がどこへ行くかです。多くの場合、それは現場の手作業として残ります。システムに入らない項目をメモに控える。出てきた帳票を、提出先の様式に手で打ち直す。月末だけ別のファイルで集計する。
導入の検討段階では、こうした作業は「運用でカバー」という一言にまとめられがちです。けれども実際にカバーするのは、毎日その画面の前に座る人です。ここを見ずに決めた導入は、コストを下げたつもりが、現場の負担に形を変えて残ってしまいます。
ですから最初の問いは、「どちらが安いか」ではなく「合わない部分を、誰が、どれだけ引き受けることになるか」だと考えています。
ヒアリングで気にかけている、三つの視点
判断に迷われているご相談では、次の三つの視点を気にかけながらお話を伺っています。質問として一つずつお尋ねするというより、普段の仕事の様子や困りごとをお聞きする中で、この三つが見えてくるように耳を傾けている、というほうが近いかもしれません。
一つめは、その仕事のやり方が自社の強みかどうかです。 よその会社と同じやり方で構わない仕事なら、既製品に合わせてしまったほうが身軽です。逆に、長年かけて磨いてきた自社独自の進め方であれば、それをシステムに合わせて崩すのは惜しい選択になります。
二つめは、その仕事が今後も変わりそうかどうかです。 法令や取引先の都合で様式が変わる業務、事業の成長に合わせて形が変わる業務は、あとから手を入れられる作りにしておくと結果的に楽になります。
三つめは、変えたくなったときに誰に頼めるかです。 作ること自体より、そのあと十年付き合っていけるかのほうが効いてきます。
どれも、面と向かって聞かれるとかえって答えにくいものです。だからこそ、お話の端々に表れるものを丁寧に拾うようにしています。
つくる側の重さは、確かに変わりました
かつて「自社に合わせて作る」は、期間も費用も大きな決断でした。そのため、多少合わなくても既製品に寄せるほうが現実的、という判断が長く一般的でした。
その前提は、いま変わりつつあります。AIを開発の相棒として使うことで、作る工程にかかる手間は確実に軽くなっています。私たち自身も、日々の開発をそのやり方で進めています。選択肢が現実的になった以上、最初から片方を外して考える必要はありません。
ただ、軽くなったのはあくまで「作る」部分です。どんな仕事をしている人の、どんな困りごとを解くのかを見極める部分は、変わらず人の仕事として残ります。そこを飛ばして作られたものは、速く出来上がるぶんだけ、速く使われなくなります。
iTELASは「人を想う心が、AIを価値に変える。」を掲げています。パッケージか自社開発かという問いも、突き詰めれば、毎日その仕事をしている人にとってどちらが楽になるか、という問いだと考えています。ご検討中の案件がありましたら、比較表を作る前の段階から、ぜひ一度ご相談ください。