iTELAS COLUMN

AIエージェントに本来の力を発揮してもらうために、先に言葉にしておきたいこと

AIエージェントが力を発揮するには、目的と今の状況が言葉になっていることが大切です。言葉にする近道としての「壁打ち」を紹介します。

2026年10月15日

最近は「AIエージェント」という言葉を耳にする機会が増えました。指示を一つずつ出さなくても、調べものや資料づくり、作業の段取りまで、AIがある程度まとまった仕事を進めてくれる仕組みのことです。ところが実際に使ってみると、「思っていたものと違う答えが返ってきた」「手直しに時間がかかった」と感じる方も少なくありません。

その原因は、AIの性能よりも、AIに渡している情報のほうにあることが多いように思います。今回は、AIエージェントに本来の力を発揮してもらうために、先に整えておきたいことを考えます。

AIは「書かれていないこと」を知りません

AIエージェントは、渡された言葉をもとに考え、動きます。逆に言えば、言葉になっていないことは知りようがありません。

たとえば「来月の会議資料を作って」と頼んだとします。長く一緒に働いている人なら、会議の目的や参加者、これまでの経緯を知っていて、うまく汲み取って作ってくれるかもしれません。しかしAIは、その会議が新しい取り組みへの賛同を得るためのものなのか、現状を報告するだけのものなのかを、言われなければ分かりません。結果として、それらしいけれど少しずれた資料ができあがります。

AIエージェントが力を発揮するために特に大切なのは、次の二つが言葉になっていることです。

  • 目的:何のために、誰のために、どうなっていれば成功なのか
  • 今の状況:どこまで進んでいて、何が分かっていて、何に困っているのか

目的が分かれば、AIは進む方向を誤りにくくなります。今の状況が分かれば、すでに済んでいることを繰り返したり、前提を取り違えたりせずに済みます。この二つがそろって初めて、AIは「目的と今との差を埋めるには何をすればよいか」を考えられるようになります。

言葉にするのは、思ったより難しい

ところが、この「目的と今の状況を言葉にする」ことは、案外難しいものです。頭の中では分かっているつもりでも、いざ書こうとすると手が止まる。書いてみたら、目的が二つ混ざっていたことに自分で気づく。仕事に慣れている人ほど、当たり前すぎて書き漏らしてしまう前提もあります。

つまり、AIに渡す言葉が曖昧になるのは、伝え方が下手だからというより、考えがまだ整理しきれていないからであることが多いのです。

言葉にする近道は「壁打ち」です

そこでおすすめしたいのが、壁打ちです。壁打ちとは、相手に話し、問いを投げかけてもらいながら、自分の考えを整理していくことです。

「それは誰のためですか」「今いちばん困っているのはどこですか」「どうなっていたら終わりと言えますか」。こうした問いに答えていくうちに、ぼんやりしていた目的が形になり、見えていなかった今の状況が整理されていきます。

壁打ちの相手は、同僚や上司でもかまいませんし、AIでもかまいません。いきなり作業を頼む前に、「この仕事の目的と今の状況を整理したいので、質問してください」とAIに頼んでみるのも一つの方法です。問いに答えるうちに、AIに渡すべき言葉そのものがそろっていきます。ただし、社外のサービスにお客様の情報や社内の大切な情報をそのまま入れてよいかは、事前に必ず確かめてください。

そして、最後に「これが目的で、これが今の状況だ」と決めるのは人です。壁打ちは考えを言葉にするための対話であって、AIに答えを決めてもらうためのものではありません。

AIの力を引き出すのは、人の言葉

AIエージェントは、うまく使えば仕事の大きな助けになります。けれど、その力を引き出すのは道具の新しさではなく、「何のために、今どこにいるのか」を言葉にできているかどうかです。

iTELASは「人を想う心が、AIを価値に変える。」という考えのもと、AIを入れる前に、その仕事に関わる方のお話をじっくり伺うところから始めています。AIにどう頼めばよいか分からない、何から整理すればよいか分からない。そんなときは、まず目的と今の状況を、一緒に言葉にするところから始めてみませんか。

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