「新人が入ってくれたのはありがたいけれど、教える時間が取れない」。人手が限られる職場では、こうした声をよく耳にします。教える側も自分の仕事を抱えたまま、同じ説明を何度も繰り返すことになり、教わる側も「何度も聞いては申し訳ない」と遠慮してしまう。その結果、お互いに疲れてしまうことがあります。
最近は、こうした新人教育の一部をAIに手伝ってもらう方法が身近になってきました。今回は、AIに任せやすいところと、先輩が手放さずに担いたいところを整理してみます。
AIに任せやすいのは「何度でも付き合う」役割
AIが得意なのは、同じ質問に何度でも、嫌な顔をせずに答えることです。たとえば、次のような使い方が考えられます。
- 社内でよく使う言葉や略語を、新人向けにやさしく言い換えてもらう
- 電話応対や接客の場面を想定して、練習相手になってもらう
- 作業の流れを読んだあとに、「理解できているか」を確かめる質問を出してもらう
新人の方にとって、「こんなことを聞いてもいいのかな」とためらう質問ほど、AIには気軽に聞けるものです。分からないまま作業を進めてしまうより、まずAIに聞いて整理し、それでも迷うところを先輩に聞く。そうした流れができると、先輩への質問も中身の濃いものになっていきます。
ただし、AIに社内のことを答えてもらうには、元になる資料が欠かせません。手順や決まりごとが言葉になっていなければ、AIはもっともらしい一般論で答えてしまいます。また、教材としてAIに渡す資料に、お客様の情報や社内の大切な数字が含まれていないかは、事前に確かめておく必要があります。
先輩が手放さないのは「見る」「認める」「つなぐ」
一方で、AIには担えない役割があります。
一つめは、新人の様子を「見る」ことです。表情が硬い、手が止まっている、同じところでつまずいている。こうした小さな変化に気づけるのは、同じ場所で働く人だけです。
二つめは、できるようになったことを「認める」ことです。「前より早くなったね」「その確認の仕方、いいね」という一言は、AIの正確な説明よりも、新人の方の背中を押してくれます。
三つめは、職場の人と「つなぐ」ことです。誰に何を相談すればよいのか、どんな人がどんな思いで働いているのか。仕事は手順だけでなく、人の関係の中で進んでいきます。その輪に迎え入れることは、先輩にしかできません。
教える側の時間を、向き合う時間に
AIを新人教育に取り入れる目的は、教える手間をなくすことではないと私たちは考えています。同じ説明の繰り返しや、基本的な言葉の確認をAIに手伝ってもらうことで、先輩が新人の方と向き合う時間を生み出す。そこに本当の価値があります。
始めるときは、まず「新人からよく聞かれること」を十個ほど書き出してみることをおすすめします。それだけでも、AIに任せられることと、人が伝えるべきことの境目が見えてきます。
私たちiTELASは「人を想う心が、AIを価値に変える。」という考えを大切にしています。新しく仲間になった方が安心して育っていける職場づくりに、AIをどう生かすか。進め方に迷われたときは、どうぞお気軽にご相談ください。